社会に出る前に鍛えたい「金融リテラシー」のおすすめ入門書

日本は金融教育が遅れているといわれます。たしかに私が中高生のとき、クレジットカードの仕組みを教えてもらった以外には習った覚えがありません。ですが現代社会には様々な金融サービスが存在し、我々の知らないところで動く金融システムが経済に影響を与えています。これらお金にまつわる仕組みは、猛スピードで進化して浸透していきます。それらの是非を判断して、上手に利用したり、騙されたりしないための「金融リテラシー」を磨くにはどうすればよいでしょうか。難しい金融用語を覚える? 複利計算の練習をする? その前に、私は根本的な「お金と経済との付き合い方」を学ぶことが大切だと思います。そのために役立つ本を3冊、ご紹介します。

「おカネの教室」高井浩章

現役の経済記者が家庭内連載として書き始めた、お金と経済をめぐる青春小説。「お金を手に入れる方法は、かせぐ、ぬすむ、もらう、かりる、ふやす。あと一つは?」この疑問を中心にして、中学生2人が「そろばん勘定クラブ」の活動を通しておカネのことを学んできます。役に立つ職業とは何なのか考えたり(高利貸しから売春婦まで!)、中学生が借金をするための方策を考えたり……。「こんなこと、実際のクラブでは無理だよな」という出来事ばかり出てきますが、その分、教科書には載っていないお金と経済の本質を分かりやすく教えてくれます。

初心者に経済を教える本というと、用語の解説に終始するものが多いです。「お金とは日本銀行が発行する……」「複利の計算法は……」といったような。ですがこの本は違いました。「役に立つとはどういうことか」「リーマンショックで儲けた奴らの責任とは」など、大人でもいまいちはっきりしない問題を取り上げています。さらに、登場人物のたちと一緒にいろいろな職業を「かせぐ」「もらう」「ぬすむ」に分類していくと、おのずと経済と労働について考えを深められるようになっています。

よい意味で本書が教育的でないのは、「この世の中には、玄人の世界がある」という話題を出しているところです。先ほど書いた通り、この本には様々な職業を取り上げて分類していくシーンがあります。そこでは世界最古の職業「バイシュンフ」や、グレーだけど無くなることのない「ギャンブル」などが登場します。本書は「良くないから無くすべき」などという身も蓋もない結論は出さず、「玄人と素人」「必要悪」などのキーワードを使って解説してくれます。

この一冊を通して、金融の良い面と悪い面を教えてもらえる点が良かったです。中高生のお子さんがいる方におすすめしたいのはもちろん、大人でも「もっと若いときに読んでおきたかった」と思うこと間違いないと思います。

中学生がお金を手に入れる方法を考えた「おカネの教室」を読んで

2018年8月12日

「いま君に伝えたいお金の話」村上世彰

村上世彰氏といえば「村上ファンド」を運営し、「金儲けは悪いことか?」といった発言が注目された元ファンドマネジャー。「ハゲタカ」「金の亡者」といったイメージが強い人ですが、現在は金融教育や社会事業に力を入れていて、かつての印象とは様変わりしています。そんな村上氏が若い人に「お金との付き合い方」「お金と経済の考え方」を伝えるべく書いたものが本書です。お金の儲け方やノウハウではなく、根本的な経済観・金銭観を教えてくれます。

これは是非とも知っておきたいと思ったのは「値段に騙されるな!」ということ。
ある年の秋、築地で売っていたサンマはやせ細っていた上に値段も高い。ですがその前の年は、まるまると太ったサンマがもっと安く売られていたそうです。どう考えても前年のサンマの方が価値があるのに、値段は高くない。どうしてそんなことになるのかと言えば、サンマが不漁だったか豊漁だったかによるわけです。値段が決まる仕組みは様々ありますが、とくに重要なのは「需要と供給」だと分かります。

「そんなこと普通知ってるよ」と思いますよね。そこで村上氏はこういいます。

それなのに人間は、値段が高いものには何か高い価値があるかのように錯覚してしまいがちです。それはお金の魔力のせいです。(中略)ただとんでもなく高価であるというだけで、それを宝物か何かのようにありがたがるようになる人もいます。「いくらお金を払っても手に入れたいモノ」であれば、いくら高くても意味があると思います。その人にとって、それは本当の宝物になるでしょう。でも、たいして欲しくもないのに「高いからなんかきっとすごいに違いない」とか、「こんな高いモノを持っていたらきっとみんなが僕のことをすごいと思うだろう」といったように、「高い値段」だけを理由にモノを買うというのは、その人が小さな頃からお金に慣れ親しんでこなかった結果だと思います。

希少価値によって値段が左右されるなんて、頭では分かっています。でも普段の買い物などを顧みてみると、どうでしょうか? 値段が高い方が、価値がありそうに見えていませんか。これを読んだとき、私は身に覚えがありました(^-^; お金を上手く扱うには、自分にとって価値があるものが何なのかを理解するのが大切なんですね。

おおむね優しい言葉遣いで書かれていますが、ところどころに「この説明で子供は分かるのか?」と感じる部分がありました。おすすめするなら、高校生からですかね。

「マネーという名の犬」ボード・シェーファー

借金に苦しみ、喧嘩の絶えない両親と暮らす12歳の少女、キーラはあるとき怪我をした犬を拾います。「マネー」と名付けられたこの犬、じつは人の言葉をしゃべる上に、キーラにお金との付き合い方を教えてくれる……という、ちょっと現実離れした小説です。内容は「子供向けの自己啓発本」に近いですが、ちゃんとストーリーがあるので飽きずに読めると思います。世界23か国、累計400万部を突破したベストセラー。

  • お金があれば実現したい夢を明確にする
  • 「成功日記」を書いて自信をつけ、実行に移す
  • 自分自身が変わらなければ、お金が増えても不安が増えるだけ
  • 収入を適切に配分するには

といったことが小説の中で自然に理解できるようになっています。「ありきたりな自己啓発本を子供向けにしただけ?」と思われるかもしれません。私は、大人になってから自己啓発本に熱中するよりかは、若いうちに読んでおく方が有用だと考えているので、この本は読むに値すると思います。単にお金を増やすノウハウを知るためではなく、人生をよりよく過ごすための考え方が載っている点もお薦めポイントです。
ただ少し気になるのが、投資信託に関する記述です。ちょっと楽観的に書きすぎでは?と思わなくもないので、お子さんに読ませるときには多少の補足をしてあげると良いかもしれません。


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